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運営組織
事業の意義
― なぜCyclectが必要なのか ―
私たちが生きるこの現代社会は、物質的にはかつてないほど豊かで便利になりました。スマートフォン一つで世界中の情報にアクセスでき、SNSでいつでも誰とでもつながることができる。
そう言われる時代においても、「孤独」や「心の悩み」はなくなるどころか、より複雑で深刻になっているのが実情です。
インターネット上には無数の「情報」は存在していても「自分の悩みに本当に寄り添ってくれる言葉」に出会える機会は、案外少ないのではないでしょうか。
Cyclect(サイクレクト)が着目するのは、人と人との“共感”の可能性です。
情報があふれかえっている時代だからこそ「同じような悩みを経験した人の、リアルな物語」にこそ、かけがえのない価値があると私たちは考えています。
たとえば、病気や不安、親との関係、職場での孤立、育児や介護の疲れ、マイノリティとしての生きづらさ……
こうした課題は一見バラバラに見えて、実は「話せる場所がない」「共感してくれる人がいない」という共通の課題を抱えています。
Cyclectは、それぞれの「声」をそのまま受け止め、社会の中でめぐらせることで「誰かの経験が、誰かの気づきや癒しになる」という循環型のつながりを創り出すことを目指しています。
それは単に「相談に乗る」「アドバイスを与える」といった一方向的な支援ではありません。
対等な立場で、悩みを語り合い、聴き合い、認め合う文化を社会の中に根づかせていくこと。それがCyclectが果たすべき、本質的な役割です。
さらに、こうした「声の共有」をインフラとして社会に組み込むことは、行政や医療、福祉といった制度ではカバーしきれないグレーゾーン、つまり「制度に乗らないが、確かに存在する苦しみ」に対して、有効に機能する新しい社会資源の創出にもつながります。
社会全体が「わかりやすい支援」ばかりを重視する中で、Cyclectは「言葉にならない感情」や「意味づけの途中にある経験」にも価値があることを信じ、それを「めぐらせる仕組み」に変えることに意義を見出しています。
事業の目的
― Cyclectが実現したい未来とは ―
Cyclectが目指す未来は、ただの「投稿サイト」や「お悩み相談サービス」にとどまりません。このプロジェクトが持つ最大の目的は“孤立しない社会”を当たり前にするための社会的なエコシステムの構築にあります。
具体的に、Cyclectの目的は以下のように整理されます。
① 孤立の予防と感情の可視化
現代社会で最も深刻なのは、「助けて」と言えない空気です。
誰かが困っていても、それを外に出す手段や機会がなく、「ひとりで抱え込んだまま、何も起きないように見える」ことが増えています。
Cyclectでは、悩みや体験を匿名で気軽に投稿できるプラットフォームを整備することで“悩みの予兆”や“感情の変化”を社会の中に見える形で共有できる仕組みをつくります。
これは、自殺予防や心の病気の早期発見、職場・家庭でのメンタルヘルス対策にも間接的に寄与します。
② 個人の「語る力」と「聴く力」を育てる場
「自分の経験を言語化する」ことは、自分自身の内面と向き合う行為でもあります。
Cyclectでは、5つの質問に答えることで簡単にストーリー化できる機能を通して、誰もが「語る力(=自己理解)」を持てるように支援します。
また、他人の体験を読んだり、聞いたりすることで「自分にはない視点を持つ」「多様な価値観に触れる」機会が生まれ、他者を理解する“聴く力”も自然と育っていきます。
この双方向の学びは、教育現場や人材育成にも応用可能です。
③ 「人が人を支える仕組み」を社会に実装する
日本社会では、支援や福祉が「専門職が行うもの」として制度化されています。
もちろんそれも大切な仕組みですが、そこに“もうひとつの支え合い”を加えることがCyclectの挑戦です。
それは、専門家ではない一般市民同士が「わたしもそうだった」と言える経験から、感情レベルで支え合う文化の創出です。
投稿の中にあるのは、特別な知識でも理論でもありません。ただの「日常のリアルな声」です。
だからこそ、誰かがそれを読むだけで、自分を否定していた気持ちが少し和らいだり、絶望しかなかった視界に、ふと希望が差し込んだりするのです。
④ 循環する“感情のアーカイブ”を未来へ残す
Cyclectに蓄積される投稿群は、単なるデータではなく「感情の記録=人間の生の記録」です。
これは、未来の人たちにとって「過去の誰かがどう悩み、どう乗り越えたのか」を知る貴重なアーカイブになります。
心の問題は、時代によって形を変えても「不安」や「孤独」といった本質は変わりません。
だからこそ、「記録としての声」を未来にめぐらせていくという目的が、Cyclectにはあるのです。
最終的に実現したい世界観
Cyclectが目指すのは、「個人の声が、社会に役立つ力に変わるインフラを創ること」です。
それは、「データ」ではなく「感情」や「体験」が価値を持つ新しい文化の提案でもあります。
・経験は語っていいものだ
・悩みは共有していいものだ
・誰かを救えるのは、専門家だけではない
こうした当たり前が広がることで、人と人とのつながりはもっとやさしく、あたたかいものになっていくはずです。
Cyclectは、そんな未来の小さな起点として、ひとつひとつの声に耳を傾け、それをつないでいく存在であり続けます。

